【プロオタク先輩インタビュー】第2回 和田晃一さん(ディエスコンサルティング株式会社代表取締役)前編
- プロオタク講座事務局
- 2019年5月3日
- 読了時間: 6分

プロオタクとして活躍する先輩に、きっかけやら醍醐味やらコツやら訊きまくるインタビュー。
話を訊くのは、本講座の第2回「『好き』をあきらめない 3年後の自分をイメージする事業計画書を書こう」講師の和田晃一さん(ディエスコンサルティング株式会社代表取締役)。
この講座で、和田さんが教えてくれるのが、マンダラートスタイルの事業計画書作り。
というと、なにかむずかしいことのようだが、9つのカードを用意し、自分の関心領域と、それに関連する領域を書き込んでいくだけ。
こんな単純な作業で、自分の趣味を仕事化するための、いいアイデアが生まれてくるというのだ。
9枚のカードに書き込むと生き方のヒントがもらえる
和田「9枚白いカードがあれば、自分の趣味を真ん中に書いて、川上・川下、隣を書く。斜め上が空白になると思うんで、そこはなにがありそうかってその場で考えてもらう。
あるいは、その日来てる人たちの趣味を聞いて、『あ、あの人の趣味って私のここに入るよね』ってわかったらちょっとおもしろいんじゃないかなって思ったんですよね。
まわりにいる人たちとカードを合わせてみると、『あなたのここの領域は私のここの領域にかぶってます』ってできるじゃないですか。
今ここにいなくても、自分の知人とか、関係者なんかでここに該当する人がいたら、その人の名前を書いてもいい。
そうすればその人のひとつのスタイルができるかなって」
――たしかに、好きを仕事にする上で、関連する領域とつながるのは大事なところです。
たとえば僕(池田浩明)もパンを食べているだけだったら何も生産性はないんですけど、書くっていうことと結びついているので、お金をもらえる。
和田「商流(取引関係の流れ)の川上と川下に、どんな仕事があるのか?
自分でやれなくても、誰かがやってくれるかもしれないし、マネタイズ(お金にすること)が川下側でやれるんだったらそれとつなげたり。
既存のなにかがあるんだったらそこにつなげてもいいけど、どうせなら今やりたいと思っている人たちとつながったらwin-winになれる。
これは実用的な手法としてお話できるかなって思っていますね。
そんなに大儲けしようっていう人はここには来ないと思うんで。
好きなことを続けられるとか、辞めずに済むとか、それが参加される方の一番の願いかなって感じがするんですよね。
楽しく仕事をやれるだとか、我慢しないで済んだとか、そういうものになるといいかなと。
9個のマスに、参加している人や、知り合いの人の名前が入ったら、それを基に計画していく。
3年後にこのマスがどうなっているかっていうことを考えていく。
自分のコアのマスを最初は考えるんですけど、その3年後各マスがどうなっているのかっていうことを考えてみる。
3年後って考えたら、実は脇のほうのマスがすごく大きく成長しちゃうとか、ガラっと変わっちゃうとか、そういう可能性もあるわけですよね。
オタクはたぶんこの変化に弱い。
一番大きく変化しそうなマスに名前が入っている人になるべく連絡を取る、だとか、そういうことをやったらいいと思うんです」

人脈という言葉を定義する
――それは真似できそうですね! 連絡するということだったり、営業するということだったり。
和田「ドメインの中に名前が入っている人には月に2、3回は必ず連絡するとか。そこは好き、嫌いとかではなく。
あるいはそのドメインに名前を入れる人を増やすとか。
そういうことが有効だと思います。
人脈って、ただ知り合いというだけでは駄目で。
人脈という言葉を定義すると、自分も相手のためになにかをしてあげるし、相手も自分になにかをしてくれるという関係。
相補的な関係になっているものを人脈って言おうと思っている。
人脈ができているかどうかは、お互いがお互いのためにやれているかどうか。
こっち側だけが一方的にやっているとか、ただ知っているだけでは駄目。
人脈を作りたいと思ったとき、相手から最初にやってくれることを黙って期待してもできない。
そこで投資っていうのが効いてくる」
――相手のために何かやってあげる。
和田「そうすると、向こうもこっちのためにやってくれる可能性は高まる。
これがお金に限らない投資活動。
返ってこないかもしれないけど、まずは自分から振り込んでみる」
――僕だったらパン屋さんに行っておいしいと思ったら、どんな人が作っているのか、知り合いになりたいと思う。
そしたら、ネットで書いて宣伝をしたり、それでお客さんがひとりでも来たら、ギブになるかもしれない。
そうすると信用してくれて、いろいろ教えてもらえる。
オタクは意外とギブしやすいんですよ。

自分ひとりではなくオタク同士で協力しあうメリット
和田「今の話はコアの領域のほうじゃないですか。
それが周辺領域になると、途端にやれなくなってしまう。
その周辺領域にも、何らかの投資をしておくっていうのが、この講座のメッセージなんです。
そうすると、コアの趣味の領域をいつまでもやれるんです」
――コアは趣味だからできるけど、周辺をやるのはむずかしいですね。
和田「だからそのときに、自分でやるのではなく、周辺のマスに誰か人を書いておいて、人に投資していくのがいちばんいいだろうっていう話。
会社も財務経理の人がいたり、営業や開発がいるってのはまさにそれですよね。
自分ひとりでは全部できないから、対象に対する関心を、人に対する関心に置き換えていく。
そのほうがハードルがずいぶん低い」
――会社は自然にそうなっている。
和田「一応そういう風になっているはずなんですけど(笑)、残念ながらそんなにうまくいってないですね、どの会社も。
単純に最初から決められた役割だからやっていますっていう人が多い。
オタク同士のつながりだと、自分が好きだからやっていることだから、むしろリクエストもらうとうれしい。
池田さんにパンのことを聞いたら、池田さん詳しく教えてくれるじゃないですか(笑)。
私はパンに関しては素人だから、池田さんに聞くわけですよね。
池田さんにしても好きなエリアだから、聞かれてそんなに嫌なことではないはずですよね。
好きなパンだから、聞かれたら任せておけよってなるじゃないですか。
そういう自分のコアの周辺領域の人たちがいたら、それは心強いですよね」
――僕も和田さんに本のことを聞けますし。これが相補的な関係であり、人脈なんですね。
後記
人間、放っておくと、いつまでも好きなこと、楽なことばかりする。
「好きこそものの上手なれ」なのでそれはいいことだが、1歩目はそれでも、2歩目、3歩目の持続可能性がなくなる。
だから、つい無意識になりがちな周辺領域を書き出し、そこへとアクセスする努力を意識的に行なうのは、ひじょうに効果的だと感じる。
しかも、自分だけでやるのではなく、公開講座ならいろんな人といっしょにやるので、アクセスすべき当の領域の人がそこにいるのだから心強い。
講座当日、いろんな人といっしょにマンダラートを書くのが楽しみだ
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